クリエイターコメント:里見直(シナリオ)編

はじめまして&お久しぶりです。
生きててどうもスミマセン。
シナリオを担当させて頂いた里見です。

 

何やら方々で、生きとったんかと言われているらしいという
お話を伺いましたので、この場を借りてご報告させて頂きます。

 

生きとたったんよオレ。

 

偽名を使ったり名前の出ないお仕事もさせて頂いておりますので、
とりあえず今のところはですが。はい。

 

ということで、今作にはそんなスミマセンな思いを抱えた人や、
現代社会に対する生きづらさや悩み、
憤りや不満などを感じている人たちが大勢出てきます。
超人的なヒーローや強い人は一切出てきません。
みんな僕たちと同じ等身大の人間です。
何かしら病んだりこじらせたりしています。

 

舞台となる世界メビウスは、
そんな人々にμともう一人の女神が差し伸べた救いの手です。
永遠に子供のままの時間が続く、電脳の無意識世界です。

 

知識や欲望を満たしてくれる情報に溢れたインターネットは、
生活を豊かにし新たなコミュニケーションや喜びを与えてくれました。
一方で、人々の不満、不安、恐れ、妬み、怒り、嘘といった
様々な負の感情が渦巻く場でもあります。
インターネットは、まさに現代人がデジタル空間に作り出した、
巨大な集合無意識の世界と言っても過言ではないんじゃないでしょうか。

 

人間が慰めのために作ったμと彼女は、
そんな人々の思いが渦巻くデジタル空間を漂ううちに、
自我を得て人間に深く同情しました。
人々に寄り添い、喜びを与えるのが彼女たちの役目ですから。
そんなにつらいなら、ずっと子供のままここにいればいいよ。
楽しいものはみんな私が与えてあげる。
μたちはただただ善意から、メビウスを作り現実に苦しむ人々を誘いました。

 

でもそれって……というところから、帰宅部の家に帰るための戦いがはじまります。
家に帰る。
動機は様々ですが、彼らの目的はそれだけです。
世界を救うとか世直しとか、大層なことを考えている奴は一人も……
ああ、一人いた(笑)。
まぁ、その子にはなぜそんな大層なことを思うのかというところに、
μに抗い帰宅を目指す動機があります。
そのなぜがを知りたければ、その子に寄り添ってあげてみてください。
彼らの抱える痛みや悩みが垣間見えてくると思います。

 

彼らとの関係を通して、皆さんが家に帰る目的を見出して頂ければ幸いです。
どうか無事にお家に帰れますように!

 

里見直