STORY ストーリー

The story of 18 ―あの島には、何かある。ユイショアル王国の国王ラッシュ・ボースの息子でついこないだまでの皇太子。本名はエルリック・ボース。  ちょっとした政変で皇位継承権18位まで落ちてしまって、今では通称18呼ばわり。昨日まで子分のように扱ってた幼馴染も、実は義理の兄だと判明したりと立場も急落、味方は幼い頃から世話をしてくれた大臣ただひとりとなってしまい、このままだと王様になる夢も叶わなくなると一念発起、父親の功績をなぞらえるべく魔王退治を決心する。魔王を倒したら玉座につけると約束は取り付けたけど、はたして魔王なんているのかいないのか。勇者さまーランドの宣伝文句を鵜呑みにして自分も勇者になれると信じてしまうくらいハートはピュアで、信じたことは疑わず、まわりを巻き込んで爆進していく、少しオツムのネジが緩んだタイプ。いつも上から目線で、アイドル気取りのチャラ男だけど、基本的にはだれにでも優しくて、よく気が利く好青年。でもそれって、いつか就くはずの王様には必要な素養ですよね。

The story of Pochio ―拝啓、母上様。 楽しみにしていた初任給は、ヒトデが2個でした。田舎の貧乏家族の長男坊。本名はあるけど、18王子がポチ夫呼ばわりするから、まわりもみんなそう呼んで、なかなか覚えてもらえない。働くのが嫌いな自堕落な青年だったけど、社会に出るのはダメでも魔王を倒すアトラクションだったらと、勇者さまーランドへやって来た。それ以来この南海の孤島で、ボスデス社長のもと、住み込みでインストラクターのアルバイトに励んでいる。人見知りで口数少ないタイプだけど、そのぶん妖精のルアが相棒ヅラして、あることないことべらべらと喋り、たまにそれで窮地に陥ったりすることもあるけど、流されやすい性格ゆえに、為すがままの日々を送ることになる。月末になると、実家の父母へのわずかな仕送りに添える手紙に、勇者さまーランドでの活躍を大げさに盛って書いては虚しくなっている。夢は特になく、アルバイトは半ば遊びのような感覚で、まだまだ仕事としての実感はないけど、最近なんとなく、お客様が楽しむことが自分の楽しみでもあるような気がしてきた。

このモテない、冴えない、パッとしない三拍子揃ってダメダメなポチ夫と、モテる、冴えてる、パッと華やかな第18王子とがバディを組んで、本物の魔王退治に乗り出します。そもそもの始まりは、この勇者さまーランドのある小さな島に、本物の魔王がいると信じた18王子の勘違いからではあったんですが、やがてふたりは真の魔王の手がかりを得ることになります。アトラクションを共に攻略したふたりは、幕を開ける大冒険に胸を踊らせるけど、王家の血を引く18と貧乏庶民のポチ夫とでは価値観とが違いすぎて、時に深刻な対立を引き起こすことも。とは言え、王子の幼馴染や、謎の怪盗に、それを追って来た警部役の貴族など、愉快な仲間たちと追いつ追われつしているうちに、ふたりは無二の親友となり、18には王様としての資質が芽生え、ポチ夫には人への信頼みたいなものが芽生えていきます。小さなアトラクション島の上、背後には王座を巡るドロドロの陰謀が渦巻く中、基本はドタバタ、時にしんみりと、ポチ夫と18の間に小さな友情が育まれ、やがてそれが世界を変えていく、そんな物語です。