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インディーズADVシリーズ カタルヒト

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WORLD END ECONOMiCA

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製品情報

タイトル
[カタルヒト]
WORLD END ECONOMiCA Episode.1 (Spicy Tails)
ジャンル
アドベンチャー
対応機種
ニンテンドー3DS
販売価格
800円(税込)
CERO
D (17才以上対象)
配信日
2016年07月27日(水)
発売元
フリュー株式会社
D

ストーリー

「WORLD END ECONOMiCA Episode.1 」は、
月面都市を舞台に金融冒険青春活劇を描く、テキストアドベンチャーです。

――月への移民が腰を落ち着け、十六年余りが経った頃。
人類のフロンティアを埋め尽くす摩天楼で、 多くの者たちが見果てぬ夢を追いかけている時代。

月で生まれ、月で育った少年ハルもまた、 見果てぬ夢を見ている一人だった。
彼の夢は、前人未到の地に立つこと。
そのためには、資金が必要だった。
圧倒的な資金が必要だった。

少年ハルが向かったのは、百年の昔から人類の欲望を呑みこみ、
時には叶え、時には無慈悲に打ち砕いてきた場所だった。
そこを支配する重要なルールは、たったの二つ。

一つ、損をしないこと。
二つ、一つ目のルールを絶対に忘れないこと。

このルールを守れた者のみが、 莫大な富を手にすることができた。

株式市場。
百年前から、懲りない連中が集まる場所だった――

システム

神を見たことはなく、声も聞いたことがない。目前に広がる闇は深く、己の手を見ることすらできない。だが、私の深い闇は、神の明かりを受け入れるものである。 -若き神学者の言葉。蝋燭が電気にとって代わられた時代にて-

スペシャル

[カタルヒト] WORLD END ECONOMiCA Episode.1 (Spicy Tails)
POPSENSE
主題歌収録アルバム 【岸田教団&THE明星ロケッツ】 POPSENSE 初回限定盤 GNCA-1303
税込価格:2462円(税抜価格:2280円)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
「WORLD END ECONOMiCA」
ニンテンドー3DSテーマ
「WORLD END ECONOMiCA Episode.1」希望小売価格:200円(税込)
仕様:壁紙 上画面:ノーマル壁紙/下画面:ノーマル壁紙
   効果音:あり
   BGM:あり
     「ワールド・エンド・エコノミカ」
     岸田教団&THE明星ロケッツ

クリエイターインタビュー

語る人:支倉凍砂 (Spicy Tails)

語る人:支倉凍砂 (Spicy Tails)

作家・シナリオライター
第12回電撃小説大賞銀賞受賞。主な作品に『狼と香辛料』『マグダラで眠れ』『ビリオネアガール』等。
作家として活動する傍ら、現在は同人サークル『Spicy Tails』新作として、VRコンテンツ『Project LUX』を開発中。

――本日はよろしくお願いします。今日ではアニメ化もされた電撃文庫『狼と香辛料』の作者として知られる支倉さんですが、創作活動はいつごろからなさっていたのでしょうか?
支倉凍砂:創作……まだ物を作り始める前ですけど、本当に小さい頃は漫画家になりたかったんです。でもよくあるパターンで絵がちっとも上手くならないという現実を突きつけられていて(笑)。そんな中、中学生の頃に『セイバーマリオネット』(発行元:富士見ファンタジア文庫)のノベル版を読んだんです。それで「ああ、こういう文字で表現するオタクの世界もあるんだ」と知って小説を書き始めました。なので14歳の頃です。まさに中二病ですね。


――中学生にして早くも小説家への道を歩み始めていたのですね。いわゆる二次創作ではなく、最初からオリジナル作品だったのですか?
支倉凍砂:そうです。ジャンル的には今で言うライトノベルですね。当時はまだ“ライトノベル”という言葉は無いですけど(笑)。その頃は「ザ・スニーカー」(発行元:角川書店)というライトノベル雑誌があって、購読して自分の書いたものを投稿したりしていました。それからいろいろ書き続けて、22歳のときに応募した電撃小説大賞で賞をいただいて、初めて書籍化されたのが『狼と香辛料』で、そこが僕の小説家デビューになりますね。


――中学生でこれと決めてからデビューまで小説を書き続けたのですね。
支倉凍砂:そうですね。賞に応募したりしたものだと3、4本くらいは書いていると思います。大学生の時は二次創作の文章もやっていました。


――そういう時期もあったとは知りませんでした。
支倉凍砂:そうですね。アーケードゲーム『怒首領蜂大往生』(開発元:ケイブ)の同人誌を作っていました。


――!? シューティングゲームの世界観を扱った二次創作なのですね。
支倉凍砂:ええ、あの膨大なコミケのスペースの中で6サークルしか同ジャンルが無かったです。どちらのサークルさんもほぼ全員知り合い、みたいな(笑)。


――大学に出られていて22歳で『狼と香辛料』で受賞されているということは、いわゆる就職活動的なことも無く、すぐに小説家デビューされているのですね。
支倉凍砂:そうですね。就職活動しなきゃやばいな、って思っている頃にちょうど受賞の連絡が来たので、いわゆる会社勤めみたいな時期は無いです。

インディーズゲーム制作への憧れ

――デビュー作の『狼と香辛料』がTVアニメ化もされ、小説家として一躍人気を獲得した支倉さんが同人ゲームである『WORLD END ECONOMiCA』の制作を始める経緯はどういったものなのでしょうか。
支倉凍砂:同人ゲーム制作を意識しはじめたのは、僕が二次創作をやっている頃に登場したTYPEMOONさんの『月姫』ですね。実は初めて『月姫』を見たときに、どこかで見たことあるなって思ったんですね。で、なんだろうって思い返してみたら、僕はたまたま、奈須きのこさん、武内崇さんたちが『月姫』以前に参加していた同人誌を買っていたんです。それもあって、ああこんなブームになっているすごい作品が本当に同人作品なんだ、って実感して。それからですね、いつか自分でも同人ゲームに挑戦してみたいなって思うようになったのは。

――少し前に『彼岸花の咲く夜に』で竜騎士07さんにインタビューをしたのですが、そこでも『月姫』前後で同人業界が変わったのでは、というお話になりました。
支倉凍砂:本当にそうだと思います。二次創作ではないオリジナル作品があんなに受け入れられることも無かったですし、そもそも同人ゲームが売れるなんて誰も思ってなかったんじゃないですかね。それまでもブラウザ上で動くちょっとしたノベルゲームはありましたけど、あそこまでしっかり売ってみせたのは無かったと思います。


――『月姫』を見てすぐにゲーム制作にチャレンジできたわけではないですよね?
支倉凍砂:やっぱり小説と違ってゲームは一人では作れないですからね。なので、メンバーを集めるところで何度も挫折して。知り合いに声をかけて「ゲームを作ろう」って集まったとしても、やろうやろうって言っているうちにいつの間にかなし崩しになってしまうことが多い。具体性をもってプロジェクトが走り出すところすらも、なかなかたどり着けなかったです。プロットだけ作って終わり、みたいなことが多かったですね。


――『狼と香辛料』のメディア展開も多かったので相当忙しかったのでは……。
支倉凍砂:そうですね、僕自身が忙しかったというのもあり、結局『WORLD END ECONOMiCA』に着手できたのは『狼と香辛料』を書き終える少し前かな……2010年くらいになったかと思います。


――走り始めてからはけっこう短期間で作り切った感じなんですね。
支倉凍砂:それでも1年間でエピソード1、2年目にエピソード2と、三部作なので足掛け3年は作っていましたけどね。

小説家としてのゲーム開発のアプローチ

――その頃に開発に進めるメンバーが集まった感じですか?
支倉凍砂:いえ、その時はそれまでとは少し違ったアプローチをしていてですね、僕がまずシナリオをほぼ書きあげてしまったんですよ。それから僕の知人を介して、ゲームを完成させた経験のあるサークルさんに開発をお願いするという方法をとりました。「一緒にやろうぜ」じゃなくて「作ってください」というやり方ですね。

――ああ、なるほど。小説家からゲームサークルさんに、シナリオはもうあるから、これをゲームにしてください、とお願いする形ですね。
支倉凍砂:そうです。そこでこちらから製作費もお支払いしているので、形式としてはもう発注ですね。そうすればなあなあに立ち消えちゃうことはないですからね。こういう形をとるメリットがもうひとつあって、当然なんですけど制作を進めていくうちに、ここはこうしたほうがいい、いやこうだろう、みたいな形でメンバー内の意見が割れるときが出てくるんですよ。そういう時は往々にしてどちらの意見にもそれなりの理由はあって、決定までにすごく時間がかかってしまう事も多いんです。ですが、そういった場合には発注側である僕の意見を尊重してください、というのを最初に約束して進めることができました。


――最初にシナリオを決めて、ゲーム化を発注というのはシナリオ書きがインディーズゲームを作ろう、となったときに一番シンプルでブレが起きにくいプロセスかもしれませんね。
支倉凍砂:最初に開発費ありきなので、国内の一般的な同人ゲームの作り方とは少し違うと思いますけどね。


――支倉さんの実績からすると、商業作品としてゲームメーカーと組む選択肢もあったかと思いますが、そうしなかった理由はあるのですか?
支倉凍砂:商業だと自分の取り分が少なそうだったから(笑)。というより、やっぱり商業では自分の好きにできるところが限られてくるじゃないですか。全部自分でこうした方がいい、って思ったことがやれるのはインディーズゲームの魅力ですよね。小説も思い通りと言えば思い通りですけど。

――実際、作られてみて、どうでしたか? やっぱり小説とは違いますよね。
支倉凍砂:そうですね、やっぱりここぞというときに音楽と効果音を合わせて演出できるのは強いです。紙の小説でできる演出は限られていますから。


――絵や音を効果的に入れられるという意味ではやっぱり映像作品は強いですよね。
支倉凍砂:でもこれがアニメになると、今度は文章表現による面白さはなくなってしまう。同じシーンを描くのでも、文章には映像では描き出せない深みもありますから。そういう意味ではノベルゲームは文章の深みと絵や音の演出が両立する、独特のメディアだと思います。


――小説家として、ストーリーを描くためのメディアとしてのノベルゲームに可能性を感じたという認識で良いでしょうか。
支倉凍砂:はい。文章でストーリーを語る表現媒体のひとつと位置づけてチャレンジしました。なので、ゲーム中に選択肢を出す事にも興味は無かった。なので、この作品は“絵やグラフィックで演出されたノベル”だと思ってプレイしていただいて構いません。

『WORLD END ECONOMiCA』のテーマ

――作品の内容についてですが、まず金融市場を舞台にしたノベルゲームという時点でかなりの異色作かと思いますが、これはどこから着想を得ているのですか?
支倉凍砂:そうですね、経済への興味はもともとあって、自分でも株をやっていたりはしていたのです。経済書なんかも読んだりするんですが、ある時読んだ本にリーマンショックについて書かれていて、それが本当にものすごく面白くて。それで今回の話を書こうと思いました。それまでのライトノベル業界を見渡しても金融をテーマに据えたものは『波間の国のファウスト』とか、至道流星さんの一連の作品くらいで、すごく少なかったんですね。だったら僕もいつか書いてみたいなという気持ちはあったんですけど、リーマンショックが決め手になりましたね(笑)。


――若い人は言葉くらいしか聞いたことは無いかもしれませんが、リーマンショックというのは大手投資銀行が破たんしたことをきっかけに世界中の金融市場が崩壊したという事件ですよね。
支倉凍砂:はい。莫大なお金が一度に動くと何が起きるのか、その本では説明されていて。戦争以外の理由で国がひとつ無くなりかけるなんてことがあり得るのか! と、かなり現実味を持った危機感として感じました。3部作になる『WORLD END ECONOMiCA』の作中でも、そういった大規模な事件が起きたりもしますし、身近な視点から描いているので、普段ニュースで聞こえてくる「日経平均」だとか「NYダウ」が動くとどういう意味で大変なのか、読みながら覚えてもらえるんじゃないかと思います。

――たしかに、下手な経済の本を読むよりも金融の世界を実感として理解できますよね。
支倉凍砂:リーマンショックの話を描きたかったんですけど、お金の動きが現実に及ぼす影響を書こうと思った時に踏まえなければならない前提の知識がありすぎるので、3部作でエピソードを分けて描くことにしました。少年ハルの目を通して株取引自体の話から始まり、株を発行している会社の話をして、すべてを取り巻く事件の話へと展開していきます。各エピソードの間は4年ごとの間隔が開いているんですが、その4年ごとに登場キャラクターたちが成長と変化をしていきます。


――おカタいお金の話かと思いきや、ストーリーのテイストとしては友情・努力・勝利みたいな成長物語ですよね。
支倉凍砂:読んでいてつまらないんじゃ話にならないですからね。株取引を覚えて、動かせるお金が大きくなって駆け上っていく無敵感あり、問題にぶち当たる葛藤あり、それを乗り越える成長ありのエンタメになっています。


――ハルは金融市場には似つかわしくないというか、少年マンガみたいな主人公ですもんね。
支倉凍砂:株取引って怖いもので、始めた当初はお金という意識があるんですけど、扱う数字が大きくなってくると現実とのリンクがだんだん無くなっていくんです。自分の手元にある数字が、現実にどういう影響を及ぼすのかがわからなくなる。なので、単なる勝利に向かう物語じゃなくて、その怖さ、重さみたいなものを読み取ってもらえるとうれしいですね。そりゃ10代くらいの子では3兆円が現実にどういう効果をもって表れるかなんて想像できないですよ。人間ひとりの生涯収入が約2億円だとすると、2兆円あったら一万人を一生働かせることができるわけです。一生ですよ。

――怖いですね。夢に燃える熱血少年vs一万人の生涯賃金。現実で考えちゃうとファンタジーの怪物と対峙するより怖いかもしれないです。
支倉凍砂:物語は個人の視点で描かれますから、ハルもどこかで自分の決断が現実的に持っている意味と向きあうことになるんです。


――改めて面白いテーマですねえ。3部作を読みながら勉強させてもらいます! お話しをうかがっていて聞いてみたくなったのですが、ご自身もトレーディングをなさっている支倉さんにとって、お金とは何なんでしょう?
支倉凍砂:うーん……。トレーダー的な視点でいうなら“ゲームに参加するためのポイント”ですかね。


――え! マネーゲーム的な意味での?
支倉凍砂:そうです。実際に株を運用してても、勝ったらうれしい、負けたら悔しいんですけど、じゃあ勝ったらそのお金で何買うの?って言われても特に思いつかない。次に負けるまで使い続けるんです。始めたばかりの頃はお金っていうイメージだったんですけど、最近はそうなってますね。これも現実とのリンクが甘くなってきているということかもしれないです。

――労働による対価よりはるかに大きくなるケースもありますもんね。
支倉凍砂:でもそこは比べたらいけないというか、労働で得たお金とマネーゲームで得たお金は意味合いが違います。僕の好きな小説のワンシーンで、トレーダーをやってる主人公が息子に「パパは何の仕事をしてるの? 友達のパパは本を作っててカッコいい。パパの仕事は何なの?」って問われるシーンがあって。本を作るよりも何百倍も稼いでる主人公ですが、息子に何を生み出しているかを説明できなくて悩む、というシーンがあるんです。小説のひと幕ですけど、ある種の真理を突いてますよね。ちゃんと働いた方が偉いのは子供でもわかることだと思います。


――マネーゲームと現実の関連性はこのゲームのテーマでもありますよね。
支倉凍砂:そうですね。そんなにたくさんの作品があるジャンルではないので、ぜひカネの世界の話を楽しんでいただけたらと思います。

――ありがとうございました。