NINTENDO 3DS ダウンロードソフト

インディーズADVシリーズ カタルヒト

menu

彼岸花の咲く夜に

ニンテンドーeショップにて好評配信中!!

QRコード

インターネットに接続した
ニンテンドー3DSでご利用ください

製品情報

タイトル
[カタルヒト]
彼岸花の咲く夜に 第一夜 (07th Expansion)
ジャンル
アドベンチャー
対応機種
ニンテンドー3DS
販売価格
800円(税込)
CERO
D (17才以上対象)
配信日
2016年07月27日(水)
発売元
フリュー株式会社
D

ストーリー

「彼岸花の咲く夜に」は、「いじめ」「学校の七不思議」といった、学校生活の闇をテーマにした、
怖くて考えさせられるオムニバス形式のテキストアドベンチャーゲームです。

「めそめそ、めそめそ。
そこの人、どうか哀れな私の話を聞いてください。」

いじめられっ子の少女、
森谷 毬枝(もりや まりえ)。
トイレで泣いていた彼女の言葉が
「めそめそさん」という怪談を生んでしまう。

「あなたが噂のめそめそさん…?」

そんな彼女の前に現れたのは「踊る彼岸花」という学校の七不思議。
学校に住まう七大妖怪の序列第3位の可憐な少女だった。

彼女は毬枝に七不思議の八番目、
序列第8位の学校妖怪「めそめそさん」にならないかと声をかける…。

システム

「めそめそさんが出たんだって」「めそめそって泣いてたのを聞いたんだって」めそめそ、めそめそ。そこのあなた、哀れな私の話を聞いて下さいな。

スペシャル

[カタルヒト] 彼岸花の咲く夜に 第一夜 (07th Expansion)
「彼岸花の咲く夜に」
ニンテンドー3DSテーマ
希望小売価格:200円(税込)
仕様:壁紙 上画面:ノーマル壁紙/下画面:ノーマル壁紙
   効果音:あり
   BGM:あり「例えば、こんな怪談」

クリエイターインタビュー

語る人:竜騎士07 (07th Expansion)

語る人:竜騎士07 (07th Expansion)

同人サークル07thExpansionの主催者であり、シナリオライター。
ノベルゲーム「ひぐらしのなく頃に」を始めとし「うみねこのなく頃に」「彼岸花の咲く夜に」「RoseGunsDays」など作品をたてつづけに発表。生み出した作品群は映画、アニメ、漫画、小説など幅広いメディアへと発展している。
ホラーテイストの作品が多いように見えるが、その作品の奥底には愛や友情といった熱いテーマが眠っているものが多く、若者にも多く支持されている。

――本日はよろしくお願いします。竜騎士07さんと言えば、いわゆるゲームユーザー以外にも届くほどの話題を呼んだ『ひぐらしのなく頃に』『うみねこのなく頃に』のヒットがありますので、これまでにも語られている事も多いかとは思いますが、今回は『彼岸花の咲く夜に』のニンテンドー3DSへの移植ということで、竜騎士07さんの事を初めて知った、という方向けに基本的な事からお聞きしていきたいと思います。
竜騎士07:よろしくお願いします。

好きなもの・ハマったものは即やってみる、一貫したスタンス

――まず竜騎士さんが創作活動を始められたきっかけというか、経緯をお伺いしたいです。
竜騎士07:僕は昔から“何か作ってみたい”という気持ちはずっとあって、でも自分が何を作りたいのかすらわかってなかったんですね。“何か”を作りたいんだけどアウトプットの方法がわからない。ゲームが好きだったのでゲームのサークルで真似事をしていたこともありますし、小説を書いたり、漫画を描いたり、いろいろ迷走している中で、その時はたまたま漫画に挑戦していたタイミングでした。で、その先でハマったのが人気のトレーディングカードゲーム(以下TCG)で、それからはカードゲームを自分で作り出すオリジナルカードというジャンルに手を出したり。いわゆる美少女ゲームをモチーフにした二次創作のTCGを作っていましたね。


――オリジナル作品ではなく、二次創作のサークルだったんですね。
竜騎士07:そうですね。当時の同人業界は二次創作全盛期で、僕らだけじゃなく、業界的にもオリジナルは今より全然少なかった。


――二次創作からオリジナル作品に移行するきっかけは何だったんですか。
竜騎士07:ひと言で言ってしまえばTYPE-MOONさんの『月姫』で受けたインパクトです。ただそこには当時の同人業界の雰囲気も関わっていたとは思います。二次創作の同人活動っていうのは、その時々の流行りのコンテンツの二次創作をみんなで共有することで盛り上がる、という楽しみ方ですよね。僕がやってた当時はPC向けギャルゲーの二次創作がメジャージャンルだったんですけど、そんなギャルゲー業界の覇者が、一瞬、空位になった瞬間があったんです。で、みんながどのコンテンツを楽しもうか、と探しているところに突如現れたのが『月姫』で。みんなでこぞって『月姫』の二次創作を作りましたし、オリジナル作品が活発に作られるようになりました。それまでは同人業界内にも“二次創作は楽しいけど、オリジナルは自分の妄想を垂れ流してキモい”みたいな空気があったんですが、『月姫』のヒットを受けて、「ならば俺も」とオリジナルに漕ぎ出す人もたくさん出てきた。ここで同人業界の雰囲気がガラッと変わったのを感じたんですね。で、僕と一緒に活動をしていた弟も「兄ちゃん、すごいのが出たよ!」とすぐに反応して、我が家にも『月姫』がやってきたわけです。


――今これだけ有名になられている竜騎士さんのフツーのオタク時代!
竜騎士07:ええ、社会人になって2、3年くらいで会社での仕事に疲れて「俺の本当の道はこっちなんだ! こっちを楽しむために仕事に耐えてるんだ!」みたいな、普通のオタクでしたよ。でもそんな自分たちと同じ同人側から『月姫』ほどの創作物が出て来たというのが本当に衝撃でしたね。あのダークファンタジーな世界観と、なんといっても奈須きのこさんのあの筆力! 当時の商業作品で展開していたノベルゲームの流行が、ダークな世界観の作品から、いわゆる学園モノに移り変わっていたというのも背景として影響しているかもしれません。僕の世代はノベルゲームといったらミステリーだったり、少し怖い世界観だったりというところから入っているので「もっとダークな世界を読ませてくれ!」っていう欲求があったのかもしれないです。で、弟が持ってきた『月姫』をプレイして、これはすごいぞってなったんですが、どうも、この「NScripter」っていうのがあれば、僕たちもこういうのが作れるんじゃないか? みたいな気持ちになり。単純ですよねえ(笑)好きになったらとりあえずやってみようという。こんな感じで『ひぐらしのなく頃に』の制作が始まったんです。

『ひぐらしのなく頃に』ついに誕生

『ひぐらしのなく頃に』ついに誕生

――ついに『ひぐらしのなく頃に』の制作が!
竜騎士07:そうなんですけど、先ほどお話ししたように、TCGを作るサークルだったのがいきなりゲームを作るなんて言い出したので、当時組んでいたサークル仲間のBTさんなんかは「お前正気か!?」って本当にびっくりしてました(笑)。当然ですけど、僕のサークルに足を運んでくれるお客さんもTCGが目当てなわけです。最初に作った『ひぐらしのなく頃に』の『鬼隠し編』は、メインの制作物であるTCGがならんでる机の横にちょこんとCD-ROMで置いてあるんですが。まあさっぱり手に取ってもらえなくて。ダダ余りでしたね。

――たしかに、それはそうなりますよね。
竜騎士07:自分で言うのもなんですが、TCGサークルとしてはそこそこに人気があったので、コミケに持って行った分が完売したら、お客さんには注文票を書いてもらって後に郵送していたんです。その郵送物に合わせて『鬼隠し編』のディスクをつけて送ってました。「TCGと一緒に何か送られて来ちゃってます」っていうお客さんからの問い合わせには「誤発送してしまいましたが差し上げますのでぜひ遊んでください」って応えて。


――後の『ひぐらしのなく頃に』人気を考えると信じられないような状況ですよね。ノベルというか、シナリオの制作は初めてではなかったんですか?
竜騎士07:TCGを作り始める以前に、劇団のシナリオ募集に応募した『雛見沢停留所』という脚本を書いたことがあったので、初めてではなかったです。その応募は採用されなかったんですが、いざノベルゲームを作ろうって思ったときにもう一度引っ張りだしてきて、それを元に『ひぐらしのなく頃に』の制作を初めたんです。


――それが今や同人ゲームのレジェンドとも言える作品のひとつになりましたよね。
竜騎士07:ありがたいことです。『ひぐらしのなく頃に』に続く『うみねこのなく頃に』もそうなんですが“ミステリーなのか、ファンタジーなのか”の境界線で物語を描くことで、ユーザーさんが「これはどっちなんだ?」ってすごく語り合ってくれて。ネットの声とともに成立していった作品だったという特性もあってか、メディアミックス作品として多くのお声をかけていただいて、今の僕があるといった感じです。

『彼岸花の咲く夜に』のテーマ

『彼岸花の咲く夜に』のテーマ

――『ひぐらしのなく頃に』『うみねこのなく頃に』とミステリー調の作品が続いて、『彼岸花の咲く夜に』となるわけですが、この作品はミステリーでは無いですよね。
竜騎士07:そうですね。『ひぐらしのなく頃に』の反響を受けて、さらにミステリーに振ったのが『うみねこのなく頃に』なんですが、その2作がユーザーさんの反応と対話するようにじっくり書き進めた長編だったんです。足かけ8年かな。そこで長編疲れのような状態になってしまって(笑)。次は長編ミステリーではなく、その8年間の間に思いついたストーリーをコンパクトな起承転結で描く作品を書いてみよう、となったんです。

――『彼岸花の咲く夜に』では学校が舞台となっています。
竜騎士07:そうですね。学校という舞台でオカルトをやってみたいという思いはすごく昔からあったんです。


――オカルトのテイストを持ちつつ、テーマになっているのはいじめ問題ですよね。
竜騎士07:いじめをテーマにした……うーん、そこにまつわる心理描写ものとでも言うか。よくある話ですけど、自分が幼いころに見てきた光景も影響してるんでしょうね。僕は田舎の小学校の出身で、それはそれはもう無法地帯のような恐ろしい学校環境で育ったんですよ。ひとクラス48人が一学年に8組くらいあるような巨大学校で、僕はいじめられっこ……というほどでも無いけど、クラスの中で華やかなグループだったり、ちょっとワルぶってるグループだったりには属していなかったんですね。その視点で見ていたら、学校ってのはおそろしい所だなあっていう思いがあったんです。


『彼岸花の咲く夜に』のテーマ

――無法地帯、ですか……。昔の学校ではそうだったかもしれないですよね…
竜騎士07:いえいえ、根本的には今も変わっていないと思いますよ。いじめっ子というか、影響力の強い人が暴力と雰囲気で支配してる世界。もちろん環境ごとにその顕れ方は違うと思いますけどね。中学校で東京に越して来たときは、僕の小学校とは違う“理性の世界”だなって思いましたし。まあでもそんな小学校時代の恐怖は僕の中にどこか残っていて、寝ているときに見る怖い夢で、そういった子どもの頃の理不尽な経験を思い出したりすることもあったりしますね。

『彼岸花の咲く夜に』のテーマ

――ちょっとしたトラウマですね。
竜騎士07:しかも何が恐ろしいって、小学校って自分だけでは選べないんですよ。家庭や親や地域的な都合で決まることが多いですよね? 先ほども話したように僕の行った中学校は理性の世界だったんですけど、それに油断してたら高校はなかなかに悪いところに入ってしまったんです(苦笑)。ただ、その時は勉強しなかったんだから自業自得だなって思えた。でも小学生の頃はいろいろな部分で環境を選ぶことができなかった。行きたくもないスイミングスクールの送迎バスの後部座席で、ワルガキたちに押されながら隅っこにいたせいで、僕なんていまだに乗り物の窓側の席って居心地が悪いですからね。食事に招かれたりした際にも、いわゆる「上座」にどうぞ、って奥の席を勧められたりするんですけど、遠慮させてもらってます。送迎バスの記憶のせいで、なんだか端の席がヒエラルキーの最底辺のような刷り込みがあって本当に精神に来る。子どもの頃のいじめって、結構残るんですよね。

『彼岸花の咲く夜に』のテーマ

――作中では、そういった、いじめの原因に学校妖怪を設定していますよね。
竜騎士07:そうですね。“いじめっこ”が悪いんじゃなくで“いじめ”が悪いんだっていうところに僕はポイントを置きたいんですよ。自分が何気なくしていることが、ひょっとしたら受け取り手にとってはいじめに思えちゃってる、みたいなことも少なくないと思いますし。で、それによって「いじめっこ」というレッテル貼りをすること自体が新しいいじめを生み出したりもしてしまう。「いじめっこ」と言われている側の子だって、家庭に問題を抱えていたり、何か理由があるのかもしれないし。でもいじめは悪いことであるのは変わりないし。なので“罪を憎んで人を憎まず”というスタンスが近いですかね。そこで“学校妖怪”という存在を立てて罪に人格を与えてるのが『彼岸花の咲く夜に』の世界なんです。いじめてる側も自分の意思に反して、そうせざるを得なくなってるのかもしれないし、周りの人も雰囲気に踊らされてボコボコにしてしまってるのかもしれない。その理由が妖怪のせいなんだったら、まだ読んでて救いはあるのかなって。

――いじめっこにも事情があったり、いじめがまたいじめを呼んで、昨日まで味方だった子が急に冷たくなっちゃったり。作中では妖怪が引き起こしてることなんですが、事象としてはリアルですよね。
竜騎士07:そうなんです。経験が少なくて物事を単純にとらえやすい子どもからしたら、急に友だちがいじめる側にまわるのなんて、受け取り方としては本当に妖怪にとり憑かれたのと変わらないと思います。


『彼岸花の咲く夜に』のテーマ

――妖怪のせいなのね、っていう(笑)
竜騎士07:そうなんです! あの歌は僕が『彼岸花の咲く夜に』で描いたことをたった一行で、しかもあんなに子どもに受け容れやすい形で実現してて、さすがだなぁって思いましたよ(笑)でも本当に学校妖怪という存在は“いじめっこ”憎し、というところから視点をそらすためのギミックとして重要で、もしこれが「悪いことをしているいじめっこをこらしめて鬱憤を晴らすお話」だと、「いじめの起きるメカニズム」とか「自殺することが何かの救いになるのか」とか、そういった構造にまで考えが及ばずに終わってしまうと思うんですよね。そこで敵視する対象を人ではなく、その原因である闇(=学校妖怪)に置き換えてるんです。もちろんエンタメ性を持たせる意味もありますけどね。説教くさくて暗~い話が延々続いたらイヤになっちゃいますから。

『彼岸花の咲く夜に』のテーマ

――自分も1話の時点で気分悪くなって読むのやめようかと思いましたよ!(笑)
竜騎士07:導入のエピソードですよね。わかります、なりますよね。毬枝は問題をひとりで抱え込んでしまった、ある意味“敗者の立場”に立つヒロインなんですよね。今回、学校妖怪の話なんだったら、妖怪の側にもいじめられっこの気持ちがわかる存在もいるべきだろうと思って設定しています。作中で毬枝自身も言っていると思いますが、自分は負けてしまったけど、負けるな、あきらめるな、って応援してくれる存在なんです。そんな毬枝の立場を立たせるために、金森には最低野郎になってもらいました。

――3話以降を読み進めることでその意図はわかりました。ひどい目に合わされて負けてしまった毬枝だからこその説得力というか。テレビや本でよく見かける、“人生の成功者”が「僕はこうして成功しました」「こうすれば勝てる」なんて言ってるのは“持つ者の論理”で、今まさにいじめられて心が折れそうになってる“持たざる者”が、そんな勝者の言葉に耳を傾けることは難しいですよね。
竜騎士07:そうですね。弱っている人がまっすぐ上を向くのはまぶしくて大変な事ですから。いじめられっこと同じ目線の妖怪に味方についてもらった、という感じです。

ニンテンドー3DSでリリースされることについて

ニンテンドー3DSでリリースされることについて

最初こそショッキングですが、読み進めるうちに、苦しい思いをしてる人にも読んでほしいと思えました。ニンテンドー3DSで配信できて良かったなって思います。
竜騎士07:ありがとうございます。僕のファンの方からも『彼岸花の咲く夜に』は短編集で読みやすいからもっといろんな人に読んでほしい、という声は出ていたのでうれしく思います。やっぱり3DSでリリースとなれば、インディーズに詳しくない、一般の方にも読んでいただけますから。ちょっと最初は辛口ですけど(苦笑)。そしてできればこれを読んだら「ホラーでオカルトでえぐみがあって面白かったね」ってだけじゃなくて、いじめというか、学校という環境について一度立ち止まって考えてほしいですね。この作品は本当に学校っていう難しい環境に対しての僕なりに表現できるアンサーのひとつというか。答えになってないんですけどね。個別にさまざまな事情があることなので単純に「いじめっこをやっつけろ」とか「死ぬなよ!」なんて無責任に言っていいことじゃないですし。子どもは単純に二元論で考えちゃうから「闘争」か「死」か、なんてなっちゃうんですけど、そこは周りの人も一緒になって考えてあげてほしいんです。一緒になって闘争しても、誰かがまた苦しい目に遭うことが多いと思うんで、学校妖怪のように、いじめっこに闇を与えている物は何なのか、ちゃんと考えましょうよ、という感じです。

――ありがとうございました。